AIと「続く仕組み」は作れた。むずかしかったのは、配ることだった

運動が続かない。買ったトレーニング器具は部屋の隅にあるし、アプリもいくつか入れては消した。

続かない理由は、たぶん「楽しくないから」だけじゃない。「なりたい自分に近づいている実感」が見えないからだと思う。だから、その実感が見える運動アプリを、自分で作ってみることにした。コードはほとんど書けないけれど。

コードが書けなくても、形にはなった

作ったのは「キミスク」というAndroidアプリ。スクワットでパワーをためて、その力でキャラクターが迷路を飛ぶ。運動とゲームを交互にはさむ構成にした。

文章だけだと伝わりにくいので、実際に動いているところを短い動画にした。先にこれを見てもらうのが早いと思う。

▶ [キミスク 紹介ショート(YouTube)](https://youtube.com/shorts/jwpJBjuzwEc)

役割分担は、はっきり分かれた。コードを書くのはClaude Code、キャラクターの声はVOICEVOXで事前に作って同梱(Claudecode経由)、立ち絵やアイコンはLeonardo.aiで生成(Claudecode経由)、そして「何を作るか」を決めるのが僕です。

やり方はシンプルだった。日本語で「スクワットの回数を声で読み上げて」「迷路の壁を悪魔の顔にして」と伝えると、Claude Codeがそれをコードにしていく。声はVOICEVOXで先に作ってアプリに入れておく。絵はLeonardoで生成する。手を動かす部分は、ほぼAIがやってくれた。

キミスクは加速度センサーでスクワットを検知しています。 SquatDetector.kt が SensorManager から TYPE_ACCELEROMETER(加速度センサー)を取得して、体の上下動でスクワット回数をカウントする作りです

速度センサーはAndroidで"許可不要" の「通常センサー」。カメラやマイクや位置情報と違って、権限宣言なしで自由に使えます。だからマニフェストにセンサー権限が無くても正常に動きます

理想だけ言えば「指示すれば全部できる」。

現実はそこまで甘くなくて、キャラの透過が崩れたり、アイコンが丸く切れたり、何度も作り直した。でも「作れない」ではなく「作り直せる」に変わったのは、僕にとって大きい。

コードを書いたClaude Codeは、中身が最新モデルのClaude Fableだった。正直、前のモデルと何がどう違うのかを言葉で説明するのは難しい。ただ、複雑な仕組みをまとめて一気に組み上げてくれる場面で、粘り強さのようなものは感じた。体感なので、断言はしない。

使ったのは、ひとつのAIじゃなかった

このアプリで一番効いたのは、実は「AIを使い分けたこと」かもしれない。

作るのはClaude Code。でも、それだけでは足りなかった。このアプリは、中身のコードよりも設計のほうが重要だったからだ。とくに規約まわり。VOICEVOXの声を商用でどう使えるか、Google Playに個人で出すには何が要るか、免責事項に何を書くべきか。ここを外すと「動くけど出せないアプリ」になる。

そこで、規約や前提の調べものはGeminiやGoogleのAIモードでやった。

suno.aiでBGMをどうじに作っていた。歌詞ありの曲もある。

調べた内容を「参考」としてClaude Codeに渡すと、Claude Codeはそれを鵜呑みにせず、自分でもう一度ファクトチェックして、正しいものだけをアプリに組み込んでいく。片方が調べ、片方が裏を取る。この二段構えが効いた。

時間の使い方も変わった。Claude Codeが考えている間、こちらはGeminiで別の作業を進める(食べる、寝る)。

アプリの構成案も、複数のAIに別々の角度から出させて、最後にClaude Codeの意見も聞いてブラッシュアップした。ひとつのAIに全部を聞くより、得意を分けて、切り替えながら使うほうが速いし、抜けが減る。(動画投稿の自動化ではGoogle Cloudも触った。結局、ひとつのツールで完結する仕事のほうが、少なかった。)

「どのAIに何を任せるか」を決めるのは、たぶんこれから大事なスキルになる。今のところ、そう感じている。

AIが作っても、決めるのは人間だった

作っていて一番はっきりしたのは、判断はAIに預けられないということ。

たとえば迷路。最初は難しくして歯ごたえを出そうとしたら、迷路でつまずいて運動が進まなくなった。これは運動アプリなのに、ゲームのほうが主役になってしまう。

そこで考えを変えた。迷路は「主役」ではなく「息を整える時間」だ。スクワットが本題で、迷路はそのあいだの十数秒のアクティブレスト。だから迷路は短く、濃く。長く難しくしてはいけない。

「難しくして」とAIに頼むことはできる。でも「難しくしすぎると本題が死ぬ」と気づいて止めるのは、人間の仕事だった。どのキャラクターの声を使うか、その声の商用ルールはどうか。そういう判断も、ぜんぶ手元に残った。

AIは作業を速くしてくれる。けれど「何を作るか」「どこで止めるか」は、まだこちらが握っている。今のところは、そう感じている。

完成した。そして、配れなかった

ここからが、本当の本題かもしれない。アプリは形になった。でも「どうやって人に届けるか」で、手が止まった。

Google Playに個人で出すには、いまは条件がある。2023年以降に作ったアカウントの場合、12人のテスターに、14日間連続でインストールし続けてもらう必要がある。以前は20人で、今は12人に緩和されたけれど、それでも12人だ。これを満たして初めて、製品版を申請できる。

選べる道は、ざっくり二つ。ひとつは野良配布、つまりアプリを直接くばる方法。すぐ出せるけれど、「野良アプリは入れないで」が世の中の常識で、自動更新もなく、評判のリスクもある。もうひとつが正規のGoogle Play。みんな安心して入れられるけれど、あの12人×14日が要る。

僕のまわりに、開発を手伝ってくれる人はいない。12人のテスターも、すぐには思いつかない。作れる時代にはなったのに、配るところに、まだ個人には高い壁がある。これは、たぶん僕だけの問題じゃない。

だから、この記事を読んでいるあなたに

正直に言うと、配布の答えはまだ出ていない。野良配布は自己責任のお願いになるし、正規ルートは人手が要る。

そこで、ひとつだけお願いがある。もしキミスクを面白そうだと思ってくれたら、テスターになってもらえないだろうか。やることは、参加リンク(まだないです)をGmailで開いて、2週間だけスマホに入れておくだけ。誰かに証明を出す必要はなくて、参加している状態をGoogleが自動でカウントしてくれる。12人集まれば、正式にストアへ出せる。Android専用で、まだ荒削りだけど。

アプリも色々作れる。

作る壁は、AIがだいぶ低くしてくれた。次は「配る壁」を、ひとりじゃなくて、読んでくれた人と一緒に越えられたらいいなと思っている。

あなたなら、作ったものを、どう届けますか。

キミスクの動いているところは、こちらのショートで見られます。

▶ [キミスク 紹介ショート(YouTube)](https://youtube.com/shorts/jwpJBjuzwEc)