Claude Codeは閉じると忘れる。記憶・トークン・スキルと向き合った話

Claude Codeを使い続けていて、じわじわ効いてくる不満がある。閉じると、全部忘れる。

毎回、一から説明していることないですか。

セッションを再起動するたびに「このプロジェクトはこういう構成で、私はこういう人間で、前回はここまで話していて」という説明を繰り返す。

ブラウザ版のClaudeは、なんとなく覚えていてくれる感覚がある。調べた範囲では、サーバー側でMemory機能を管理していて、ユーザーの情報を蓄積する仕組みがある。Gemini Gemsも、エージェントに常時参照する指示書を持たせることで、会話の立ち上がりがスムーズになる。

Claude Codeは違う。閉じた瞬間に、その場で話した内容はすべて消える。

最初は「設計がそうなんだろう」と受け入れていた。でも使い続けると、この「毎回一から」が思った以上に重くなる。問題の説明だけで5分かかることもある。

「記憶」と「トークン」は別の問題だった

最初に思ったのは「全部覚えてほしい」だった。でもこれは、コストの話と切り離せない。

AIツールは会話の履歴を「コンテキスト」として処理する。長くなればなるほど、1回のやり取りで消費するトークン(処理量・費用の単位)が増える。Claude Codeに限らず、ほとんどのAIツールは従量課金に近い構造で、長い文脈を維持するほど費用がかかる。「ずっと覚えている」は「ずっとコストがかかっている」に近い。

/clear というコマンドで会話履歴をリセットできる。これをやると文脈が消えるが、次のやり取りからトークン消費が減る。最初は「忘れさせる操作」だと思っていたが、実態は「コンテキストの圧縮」に近い。

記憶とトークンはセットで語られがちだが、分けて設計できることに気づいた。

レイヤーで分けるという考え方

今試しているのは、情報を層で分けて持つ方法だ。

変わらない情報(自分のスタイル・プロジェクトの概要・ツールの設定)は、Claude Codeが毎回起動時に読む設定ファイルに書いておく。毎セッション固定コストになるが、量を絞れば小さい。Gemini Gemsの「常時参照する指示書」に近い発想を、ファイルで再現している。

昨日の続きは、必要なときだけ読む。終了時に要約を保存しておいて、次回「続きから始めたい」ときだけ参照する。全く新しい話題のときは読まない。

今日の会話はそのまま積み上がる。長くなってきたら途中で圧縮して保存する。

この設計にすると、「全部覚えている」状態に近づきながら、読み込む情報を必要なものに絞れる。まだ実験中なので、これが正解かはわからない。

スキルという概念と、その限界

Claude Codeには「スキル」という仕組みがある。特定の作業に特化した指示書を用意しておき、必要なときだけ呼び出す。記事を書く、法務チェックをする、データを分析する——それぞれが専門領域を持つ。スコープが絞られているぶん精度が上がる。

ただ、スキルが増えると別の問題が出てくる。「記事を書いているとき、法務的な観点も欲しい」という場面で、別のスキルを呼び込もうとすると、また新しいコンテキストが追加される。複数のスキルを同時に動かせば視野は広がるが、トークンも増える。

これは道具の数が増えたときに起きる問題に似ている。道具は増えるほど便利になるが、どの道具をいつ使うかの判断は使う側に残る。スキルを何個作っても、どう組み合わせるかはまだ人間の領域だ。

これからどうなるか

正直、モデル自体の進化で一部の問題は消えると思っている。記憶の扱いが改善されれば、設定ファイルを手で書かなくてもよくなるかもしれない。費用も下がり続けている。

一方で「何を記憶させるか」「どのスキルをいつ使うか」という設計の判断は、しばらく使う側に残る気がしている。ツールが賢くなっても、何を目的に使うかは自分で決めるしかない。記憶の設計は、ある種の思考の整理でもある。

AIツールの記憶をどう持たせるかは、まだ答えが出ていない問いだ。自分もまだ試行錯誤している。あなたはどんな方法で、AIツールの文脈を管理していますか?